これまで働いてこられた方は、セカンドライフに突入し、今までできなかったことを目いっぱい楽しんでおられると思います。
主婦だった方は、ご主人と一緒に旅行などに出かけることも多くなったでしょう。
楽しい時間を満喫している中、気になるのは病気のこと、そして万が一のことです。
では、60代の女性にとって、女性保険は必要なのでしょうか?
60代女性に必要な保障を統計データから
繰り返し記載していますが、女性保険は、女性のための保険、ではなく、通常の保険に女性特有の保障をプラスしている保険です。
そのため、基本的には、保障内容は通常の保険とほぼ変わりがありません。
女性保険について、詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
上記記事に記載しているとおり、女性保険はいくつかの保障を組み合わせて設計されています。
- 死亡保障
- 医療保障
- がん保障
組み合わせているとはいえ、それぞれの保障についての要不要は判断できますので、まずはそこから始めていきましょう。
そうすれば、必要な保障は見えてきますし、必要な保障だけが入った保険を買うことで、無駄な出費をおさえることができます。
ここで注意してほしいのは、女性保険は女性特有の保障がついている分、保険料は高くなる、という点です。
ですので、ご自身が必要な保障によっては、女性保険よりも普通の保険を買ったほうが、安くかつ充実している、ということが普通にありえます。
この点に注意しつつ、それぞれの保障について見ていきましょう。
では、60代女性にとって必要な保障ってどういう保障なんでしょう?
他の保険同様に統計データから見ていきますね。
統計データは、
上記を元に、管理人が算出した値を記載しています。
死亡保障に関するデータ
60代の死亡保障に関するデータは、以下の記事にまとめていますので、興味のある方はご参照ください。
重要なところだけピックアップしますと、
- 60歳~64歳:0.44%(228人に1人)
- 65歳~69歳:0.52%(193人に1人)
悪性新生物 | 57% |
その他 | 19% |
心疾患 | 9% |
脳血管疾患 | 7% |
自 殺 | 3% |
不慮の事故 | 3% |
肺 炎 | 2% |
老 衰 | 0% |
悪性新生物 | 52% |
その他 | 22% |
心疾患 | 10% |
脳血管疾患 | 7% |
肺 炎 | 3% |
不慮の事故 | 3% |
自 殺 | 3% |
老 衰 | 0% |
他の年代同様、60代においても、女性より男性のほうが2倍程度亡くなられる確率が高いです。
男性より亡くなられる確率は低いのですが、50代と比較すると亡くなられる確率が2~3倍上がっています。
気になる亡くなられる理由なのですが、やはり悪性新生物が多いですね。
過半数の方ががんで亡くなられています。
もはや他人事ではない数値になっていますので、がんというリスクに対しては、きちんとカバーできる体制を整えておきたいですね。
では、これらのデータを見て、女性保険に死亡保障が必要かどうかを考えてみましょう。
データから考えますと、死亡保障は不要であるといえます。
セカンドライフに突入されていれば、基本的に貯蓄を取り崩しながらの生活になると思います。
つまり、万が一の場合に必要となるお金、この場合、葬儀費用になりますが、そのお金は貯蓄から支出できます。
葬儀費用を出せるだけの貯蓄がない場合ですが、保険に加入されるよりもその保険料を貯蓄に回された方が良いかと思います。
定年後の収支については、別記事にまとめていますので、よろしければご参照ください。
そのため、60代女性については、女性保険の死亡保障は必要ないと思いますよ。
医療保障に関するデータ
60代の医療保障に関するデータは、以下の記事にまとめていますので、興味のある方はご参照ください。
重要なところだけピックアップしますと、
- 60歳~64歳:1.09%(92人に1人)
- 65歳~69歳:0.97%(103人に1人)
Ⅴ 精神及び行動の障害 | 38% |
Ⅱ 新生物 | 15% |
Ⅸ 循環器系の疾患 | 10% |
ⅩⅨ 損傷,中毒及びその他の外因の影響 | 7% |
Ⅵ 神経系の疾患 | 7% |
その他 | 22% |
Ⅴ 精神及び行動の障害 | 31% |
Ⅱ 新生物 | 14% |
Ⅸ 循環器系の疾患 | 14% |
ⅩⅨ 損傷,中毒及びその他の外因の影響 | 8% |
Ⅵ 神経系の疾患 | 7% |
その他 | 25% |
- 60歳~64歳:0.41%(244人に1人)
- 65歳~69歳:0.35%(286人に1人)
その他 | 44% |
筋骨格系手術(四肢体幹) | 18% |
その他の内視鏡下手術 | 12% |
開腹手術 | 9% |
経皮的血管内手術 | 6% |
腹腔鏡下手術 | 5% |
開頭手術 | 3% |
開胸手術 | 3% |
胸腔鏡下手術 | 2% |
その他 | 44% |
筋骨格系手術(四肢体幹) | 18% |
その他の内視鏡下手術 | 12% |
経皮的血管内手術 | 9% |
開腹手術 | 8% |
腹腔鏡下手術 | 4% |
開頭手術 | 2% |
開胸手術 | 2% |
胸腔鏡下手術 | 1% |
- 60歳~64歳:29.1日
- 65歳~69歳:30.2日
Ⅴ 精神及び行動の障害 | 338.6 |
Ⅵ 神経系の疾患 | 56 |
ⅩⅦ 先天奇形,変形及び染色体異常 | 37.3 |
Ⅸ 循環器系の疾患 | 31.3 |
ⅩⅨ 損傷,中毒及びその他の外因の影響 | 23.7 |
ⅩⅢ 筋骨格系及び結合組織の疾患 | 23.4 |
Ⅹ 呼吸器系の疾患 | 20.3 |
ⅩⅡ 皮膚及び皮下組織の疾患 | 19.4 |
Ⅲ 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 | 18.4 |
Ⅳ 内分泌,栄養及び代謝疾患 | 18.3 |
ⅩⅣ 腎尿路生殖器系の疾患 | 16.4 |
Ⅱ 新生物 | 16 |
Ⅰ 感染症及び寄生虫症 | 14.8 |
ⅩⅠ 消化器系の疾患 | 11.6 |
ⅩⅩⅠ 健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 | 8.8 |
ⅩⅧ 症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの | 8 |
Ⅷ 耳及び乳様突起の疾患 | 7.7 |
Ⅶ 眼及び付属器の疾患 | 4.9 |
ⅩⅤ 妊娠,分娩及び産じょく | 0 |
ⅩⅥ 周産期に発生した病態 | 0 |
Ⅴ 精神及び行動の障害 | 390.7 |
Ⅵ 神経系の疾患 | 68.7 |
ⅩⅨ 損傷,中毒及びその他の外因の影響 | 29 |
ⅩⅡ 皮膚及び皮下組織の疾患 | 26.8 |
ⅩⅢ 筋骨格系及び結合組織の疾患 | 25.8 |
Ⅸ 循環器系の疾患 | 25.6 |
Ⅲ 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 | 23.3 |
Ⅳ 内分泌,栄養及び代謝疾患 | 22.6 |
ⅩⅦ 先天奇形,変形及び染色体異常 | 21.9 |
Ⅹ 呼吸器系の疾患 | 21.5 |
Ⅰ 感染症及び寄生虫症 | 19.6 |
Ⅱ 新生物 | 17.5 |
ⅩⅣ 腎尿路生殖器系の疾患 | 15.8 |
ⅩⅠ 消化器系の疾患 | 10.6 |
ⅩⅧ 症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの | 10.5 |
ⅩⅩⅠ 健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 | 9 |
Ⅷ 耳及び乳様突起の疾患 | 8.2 |
Ⅶ 眼及び付属器の疾患 | 6.1 |
ⅩⅤ 妊娠,分娩及び産じょく | 0 |
ⅩⅥ 周産期に発生した病態 | 0 |
入院率、手術率、入院日数ともに伸びています。
入院理由の「精神障害」は50代と比較すると、割合としては減っているのですが、入院数で見ると増加しています。
つまり、その他の病気で入院される方が多くなったため、割合としては減少していますが、依然、警戒しなければならない病気であることは変わりがない、ということなのです。
精神障害については、入院日数もはねあがり、60代後半については1年を超えてきています。
備えるべきは、こういった長期入院のリスクについてでしょう。
では、60代女性について、女性保険の医療保障は必要かどうか?なのですが、やはり基本的には不要だと思います。
まず、女性特有の入院がほとんど見当たりません。
また、備えておきたい長期入院のリスクですが、精神障害は女性特有の病気ではありません。
そのため、もし備えるとすれば、医療保険でリスクをケアするべきだと思います。
また、死亡保障と同じ考え方になるのですが、セカンドライフが始まると、貯蓄を切り崩しながらの生活になります。
保険の基本的な考え方として、
- 今はリスクに対する備えがないから、その分を保険でカバーする
具体的に言いますと、精神障害にかかってしまった場合、医療費で300万円必要だとします。
現時点で300万円用意するだけの余裕がないため、月額5,000円の保険でリスクに備えるわけです。
ただ、セカンドライフが始まった現在、300万円を貯蓄から支出することはできるわけです。
リスクに対する備えができている、ということですね。
そのため、保険料で貯蓄を切り崩してしまうくらいなら、貯蓄としてもっておいたほうが、のちのち融通が効きます。
それでも気になるようでしたら、備えておきたいリスクを把握し、総払込保険料をきちんと計算したうえで、その値段にあった保障なのかどうかを確認しましょう。
総払込保険料の考え方については、以下の記事にも記載していますので、よろしければご参照ください。
がん保障に関するデータ
60代のがん保障に関するデータは、以下の記事にまとめていますので、興味のある方はご参照ください。
重要なところだけピックアップしますと、
- 60歳~64歳:0.77%(130人に1人)
- 65歳~69歳:0.91%(110人に1人)
乳房 | 27% |
大腸 | 14% |
肺 | 11% |
胃 | 10% |
子宮 | 9% |
その他 | 29% |
乳房 | 21% |
大腸 | 16% |
胃 | 12% |
肺 | 11% |
子宮 | 6% |
その他 | 34% |
50代と比較すると、ゆるやかにがんにかかる確率が上昇しています。
部位別に見ると、まだ乳がんがTOPです。
しかし、これまでの年代に比べると、割合としてはずいぶん少なくなっています。
その代り、乳がん以外の部位、肺、胃、大腸がんといったがんが目立つようになってきました。
これらのデータを見たうえで、女性保険のがん保障が必要かどうかを考えてみましょう。
これは、考えるまでもなく不要であると思います。
もともと女性保険は、女性特有のがんであっても、そこまで手厚い保障がないモノが多かったです。
そのため、女性特有のがんに備えるのであれば、がん保険に女性特約をつけたほうが良いと思います。
また、繰り返しお話していますが、リスクに対する貯蓄の話ですね。
がんというリスクに対しても備えがあるセカンドライフにおいては、基本的に保険は不要です。
ただ、一点だけ気になる点がありまして。
それは、先進医療です。
先進医療については、以下の記事をご参照ください。
有名どころである重粒子線治療を利用すると、一回で300万円近くかかってしまいます。
その後の治療のことも考えると、さすがに貯蓄が心配になると思います。
そのため、「がんにかかったら先進医療を使っていきたい」と思われる方は、がん保険に加入されるのが良いかと思います。
女性保険でも先進医療特約をつけることはできるのですが、女性保険は先に記載したとおりオススメできません。
がん以外で先進医療を使うケースは今のところあまりありませんので、がんに備えるのでしたら、がん保険に加入するのが保障の面からも保険料の面からもベストと言えます。
60代女性に女性保険は必要?
これまでの年代以上に、60代女性については、女性保険は不要だと思います。
理由は、
- 女性特有の病気にかかりにくい
- リスクに対して貯蓄でカバーできるため、そもそも保険が必要ないケースが多い
の2点です。
大事なセカンドライフの資金を減らさないためにも、リスクを切り分け、必要な保障のみを購入し、不要な保障には手を出さないようにしましょう。
そうすることで、豊かな老後が実現できると思いますよ。