最近よくCMで見かける「持病があっても入りやすい保険」。
この保険には2種類ありまして、
- 引受基準緩和型保険
- 無選択型保険
それぞれの詳細について見ていく前に、生命保険に加入する際に必要な審査、そしてその結果、振り分けられるリスクについて見ておきましょう。
告知と医調、標準体と条件体とは
生命保険に加入する際には、リスクを一定にするために審査が行われます。
たとえば、
- タバコも吸っていなくてバリバリ健康な男性
- がんにより余命半年と宣告されている男性
これは凄く極端な例ですが、この2人が同じ保険に加入すると、万が一のリスクは2.の方のほうが高いことはおわかりいただけると思います。そのため、なるべく同条件の方を集めるために、保険に加入する際に審査をしているんですね。
審査の種類は
[check_list image=”check1-r”>- 告知
- 医調
の2種類です。
最近は告知のみの保険が増えていますので、医調についてはご存じない方も多いかもしれません。
告知は、書面やインターネット上で現在の健康状態を記入するだけの簡単なモノです。とはいえ、ここでウソを書いてしまいますと、告知義務違反となり保険金が支払われなかったりすることもありますので、きちんと記入する必要があります。
医調は、保険会社が契約している医師のところで実際に検査や問診を受ける形の審査になります。国内生保は、この形で審査をしていることが多いですね。
では、審査の結果、なにごともなければ問題なく保険に加入することができるのですが、「ちょっと問題ありかな?」と思われた場合は保険に加入することができないのでしょうか?
実はそんなこともなく、条件付きで引き受けてくれることも多々あります。
何の問題もない方を標準体、なにかしら問題があった方を条件体と呼ぶことがあります。
条件体は、読んで字の如く条件付きで保険に加入される方のことですね。
条件体の条件としては、
- 保険金を引き下げる
- 一定期間保障をしない
- 特定の部位の疾病については保障しない(部位不担保)
などがあります。条件を付加することによって、標準体の方と同程度のリスクにするわけですね。
条件体と判断された場合ですが、条件がついてしまうのはイヤだな、と思われるのはごもっともです。ですが、後述する引受基準型や無選択型に比べると有利な条件で保険に加入できるケースが多いですので、条件体でも加入できるのでしたら加入された方が良いかと思います。
では、次に引受基準型保険と無選択型保険について見ていくのですが、その前に一点注意点を。保険を検討する順番についてですね。
先ほどお話ししたとおり、持病があっても条件体として通常の保険に加入できるケースはままあります。そのため、保険を検討される場合は、
- 普通の保険[icon image=”arrow2-gr”>引受基準型保険[icon image=”arrow2-gr”>無選択型保険
の順番で検討されることをオススメします。
そのくらい、引受基準緩和型保険と無選択型保険は不利になります。
引受基準緩和型保険と無選択型保険とは
引受基準型緩和保険は、条件体の方だけを集めた保険だと思って頂ければ良いかと思います。そして、条件体の方よりもさらにリスクの高い方が集まっていると考えて頂けると良いかと思います。
基本的には通常の保険に加入できなかった方が加入する保険となりますので、いろいろと制限があったり、保険料が高くなったりしています。
たとえば、保険加入後1年間は、保険金が半額になる、といったイメージですね。
引受基準緩和型保険ですが、誰でも加入できるわけではなく、この保険にも審査があります。先ほどお話した2種類の審査のうちの告知が必要となります。
審査があるとはいえ、ほとんどの方が通過できるかと思います。厳しい病気としては、
- 三大疾病(がん・心筋梗塞・脳梗塞)
- 肝硬変など
- 精神系疾患
でしょうか。
とはいえ、過去3年以内であったり過去5年以内に治療を受けていなければ大丈夫なケースも多いですから、まずは告知内容を確認されてみると良いかと思います。
引受基準緩和型保険がダメだった場合は、無選択型保険の検討に入ります。
無選択型保険はその名のとおり、保険会社の審査がありません。
そのため、誰でも加入することができます。
とはいえ、通常の保険、そして引受基準緩和型保険に加入できなかった方が加入されることが大半ですから、保険料も高く、制限も多くなります。
よほどリスクに備えたいケースでなければ、加入するより貯蓄されて現金でリスクに備えたほうが良いかと思います。
引受基準緩和型保険と無選択型保険のデメリット
引受基準緩和型保険と無選択型保険のデメリットは、先ほどもお話したとおり、
[check_list image=”check1-r”>- 保険料が高くなる
- 制限がつく
です。
通常であれば、これらのデメリットを受け入れてまで保険に加入する必要はないと思います。
ただ、万が一の際に大きなリスクを抱えている場合は、その限りではありません。
たとえば、お子さんが生まれたばかりのお父さんですね。万が一のことがあった場合、家計へのダメージは計り知れないモノになります。そのため、多少制限がかかり、保険料が高くなってしまっても定期保険などでリスクに備えるのは妥当だと思います。
定期保険だけで保障が足りない場合は、通常であればインフレリスクもあり、あまりオススメできない学資保険も候補にあがってきます。
保険料が高くなり、制限もかかってきてしまう引受基準緩和型保険や無選択型保険を購入される際は、通常の保険を購入される以上に慎重に考える必要があります。
まずはライフプランシミュレーションをされて、本当にその保険が必要かどうか?を見極めてから加入されることをオススメします。
ライフプランシミュレーションについては、以下の記事をご参照ください。
引受基準型緩和型医療保険の保険料をシミュレーション
では、実際にどのくらい保険料が変わってくるのか?そして保障内容は?ということを、一つの保険を例に挙げてみてみましょう。
例としては、オリックス生命の医療保険、『新Cure』と『Cureサポート』で見比べてみます。『新Cure』が通常の医療保険であり、『Cureサポート』が引受基準緩和型医療保険となっています。
- 契約年齢:30歳
- 性別:男
- 保険期間:終身
- 払込期間:終身
- 入院保障:60日(通算1,000日まで)
- 入院保障(七大生活習慣病):120日
- 入院保障(三大疾病):無制限
- 入院日額:5,000円
- 手術(入院):10万円
- 手術(外来):2.5万円
- 先進医療:実額(通算2,000万円限度)
- 保険料:1,582円
- 契約年齢:30歳
- 性別:男
- 保険期間:終身
- 払込期間:終身
- 入院保障:60日(通算1,000日まで)
- 入院日額:5,000円
- 手術(入院):10万円
- 手術(外来):2.5万円
- 先進医療:実額(通算2,000万円限度)
- 【制限事項】契約から1年以内は、入院日額・手術給付金・先進医療実額は50%
- 保険料:3,365円
マーカーの部分が通常の保険と引受基準緩和型保険の違いです。
『新Cure』には、七大生活習慣病や三大疾病で入院した際は入院日数についての保障が手厚くなるのに対し、『Cureサポート』では保障はそのままです。
また、『Cureサポート』は、契約日から1年間は、保険金が全て半額になるという制限があります。
これらの制限があるにも関わらず、保険料は2倍近く違ってきています。
もし、この保険に50年加入したとしますと、
- 新Cure:1,582円 x 12か月 x 50年 = 949,200円
- Cureサポート:3,365円 x 12か月 x 50年 = 2,019,000円
Cureサポートでは200万円を超えてきます。
そこまでのお金を支払って手に入れておきたい保障なのかどうか、じっくりと考えられることをオススメします。その際には、先ほどお話したライフプランシミュレーションも役に立つことと思います。
それでもどうしても迷われるようでしたら、保険の無料相談を利用されるのも良いかもしれません。健康な方と比較すると選択肢は狭くなりますが、その中からご自身に合った保障を見つけてくれると思いますよ。