「子供を産みたいと思ってるけど、保険に入ったほうがいいのかしら?」
「子育てに家事に忙しい現在、何かあったらどうしよう」
「セカンドライフが始まったけれど、入院への備えは大丈夫かしら?」
ライフステージごとに、女性の悩みは変わってくる思います。
では、主要なライフステージについて、医療保険の要否を見てみましょう。
出産前に医療保険に入る必要はないの?
女性の最大のライフイベントといっても過言ではない出産。
楽しみであると同時に、出産費用も気になることでしょう。
「入院にかかるお金が保険でまかなえたらな・・・」
とお考えかもしれません。
では、出産でどのくらい入院することになるのか、ざっくりとデータで見てみましょう。
(厚生労働省の平成23年(2011年)患者調査の概況より)
10~14歳で妊娠されている方がいるのは、少し驚きでした。
平均すると入院日数は8日のようです。
まず、出産において、覚えておいていただきたいのは、
- 正常分娩は健康保険対象外
- 手術などを伴った場合、健康保険の対象になる
ということです。
正常分娩は、病気扱いではないため、自由診療になります。
すなわち、健康保険が効かず、全額自己負担となります。
対して、帝王切開などを行った場合は、手術扱いとなり、手術費用、入院費用ともに健康保険の対象となります。
健康保険の対象となるということは、すなわち高額療養費制度の対象になることも意味します。
現在の日本では、約16%ほどの方が帝王切開をして出産していると言われています。
ほぼ6人に1人ですね。
とても他人事ではない数字です。
正常分娩の場合は多額の費用がかかるの?
健康保険対象外ですので、全て自腹です。
かかる費用も、結構な金額になってしまいます。
ただ、病気としての保障はありませんが、出産に対する国の保障はあります。
出産育児一時金、というお金をもらうことができるんですね。
正常分娩における平均負担額と、出産育児一時金を比較すると、
(正常分娩負担額は、厚生労働省の調査をもとに算出)
- 平均負担額:473,626円
- 出産育児一時金:42万円
- 差額:473,626円 - 420,000 = 53,626円
となります。
あくまで平均額ではありますが、実質支払うお金は、53,626円です。
このくらいの費用ならなんとかなりそう、と感じたのではないでしょうか?
ちなみに、一般的な医療保険は、正常分娩を対象としていないため、出産による入院で保険金がおりることはありません。
一部例外として、正常分娩を対象としている保険もあります。
たとえば、フローラル共済の『なでしこくらぶ』ですね。
- 保険期間:1年
- 払込期間:1年
- 入院日額:10,000円
- 死亡保険金:150万円
- 災害死亡保険金:300万円
- 保険料:2,500円(固定)
死亡保障は必要ないので、その分保険料を下げてほしかった・・・と思うのは私だけでしょうか・・・。
保険期間が1年ですので、必要な期間だけ加入することができます。
ただし、1年間の保険料でも、
- 2,500円 x 12ヶ月 = 30,000円
となり、2年間払うと6万円です。
平均的な差額は、53,626円ですから、平均的な差額を払込保険料が上回ってしまうことになるんですね。
つまり、損をする可能性が高い、ということです。
どうしても不安な方以外は、こつこつと貯金されたほうが良いのではないかな、と思います。
正常分娩以外の出産
正常分娩以外の出産の場合、多くが健康保険の対象となります。
手術、入院費用も健康保険の対象となるわけですね。
たとえば、
- 入院1日あたり5万円
- 手術費用で50万円
- 10日入院
となった場合、
医療費:5万円 x 10日 + 50万円 = 100万円
ここで、高額療養費制度を適用します。
医療費実額:80,100円 + (100万円 - 267,000) x 0.1% =87,430円
医療費としてかかるお金が決定しました。
これに、食費である780円を入院日数分たしてあげると、
出費:83,430円 + 780 x 10 = 95,230円
となります。
手術前にいくらか費用がかかっていたとはいえ、出産育児一時金を上回ることはないでしょう。
帝王切開は、体にも心にも大きな負担がかかります。
その代り、経済的負担は軽くなります。
多くの医療保険で保険金が出るのはコチラになります。
ただ、金額を考えると、医療保険の保険金をアテにしないといけないほどのリスクはないと言えます。
現役世代の女性は医療保険に入ったほうがいいの?
まず、現役世代(30代~50代)の入院数を見てみましょう。
医療に関するデータについて、詳しく見たい方は、以下の記事をご参照ください。
女性のほうが入院数を上回っている時期がありますが、コレは出産によるものと考えられます。
つまり、女性のほうが男性よりも入院しにくいわけです。
主婦の方の場合は、家計に与えるダメージも小さいでしょう。
入院しても、収入がなくなるわけではないですから。
とはいえ、ご主人に育児や家事を任せてしまうことになりますので、心苦しい思いをされると思います。
それでも、まずは病気を治すことに専念されることで、復帰も早くなるのではないかと思います。
共働きの場合ですと、入院が収入に直結しますので、主婦の方のように簡単には考えられません。
とはいえ、傷病手当が出る会社もありますので、まずは会社の社会保障をチェックされることをオススメします。
傷病手当が出るのでしたら、収入の60%程度保障してくれるはずですので、そこまで大きな家計負担にはなりません。
現役世代での注意点としては、短いスパンで考えず、きちんとライフプランにそった収支計画を実行できているか?をチェックすることです。
入院をすることで、短期的には大きく狂いが生じますが、人生という大きな中で考えると、きっとどこかで修正がきくはずです。
修正できる程度のリスクであれば、特に保険で備える必要はないと思います。
ライフプランをまだ決定されていない方は、以下の記事が参考になると思います。
とはいえ、保険の要不要については、人それぞれの置かれている環境や家族構成、またリスクについての考え方などによって異なります。
年代別にまとめた記事もありますので、合わせて参考にしていただければと思います。
高齢になってからの医療保険の必要性
65歳くらいから、女性のほうが男性よりも入院しやすくなります。
また、入院日数も男性を上回ってきます。
短期入院は、さほど高いリスクではないのですが、長期入院は大きなリスクとなりえます。
そういったリスクにこそ保険で備えるのが望ましいのですが、70歳以降になると、高額療養費制度が非常に手厚くなります。
とはいえ、現役所得者にある、多数該当制度がなくなってしまいます。
多数該当制度とは
多数該当制度とは、長期入院のリスクを下げるため、直近12ヶ月以内に、高額療養費制度に3ヶ月以上該当した場合、自己負担額をさらに減らす、という制度のことです。
具体的には、現役一般所得者の場合、
- 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
で医療費を決定します。
多数該当制度に該当した場合、
- 44,400円
となります。
ほぼ半分の金額になるんですね。

そのため、70歳以上の方の場合、短期入院でも長期入院でも、払うお金は一緒になってしまうんですね。
80代女性の平均入院日数である90日を例にとると、
- 1か月の自己負担額:
44,400円(自己負担限度額) + 780円(食費) x 30日 = 67,800円 - 3か月の自己負担額:
67,800円 x 3ヶ月 = 203,400円
1回の入院で、だいたい20万円かかる計算となります。
これは非常に痛い金額ですね。
とはいえ、セカンドライフは貯蓄を切り崩しながらの生活になります。
つまり、リスクに対する備えとして、貯蓄がある状態で生活をしているわけですね。
その状態で保険を買う意味って、ほとんどないと思います。
手元にリスクをカバーできる貯蓄がないから、保険でカバーするのであって、すでに貯蓄があるのでしたら、保険を買う必要がないわけです。
保険を買うなら、わずかではありますが、定期預金などで増やすのが良いと思います。
迷われる方は、以下の記事に年代別の詳細な内容を記載していますので、参考にしてみてください。
まとめ
男性と女性では、入院数も入院日数も、また、どのような病気で入院するかも異なります。
それに対して、どの程度リスクヘッジするかは、年齢にもよりますし、ご自身の考えにもよるところが大きいでしょう。
ただ、ざっとライフステージ別に見てきた感じでは、特に医療保険が必要となる場面は見当たりませんでした。
医療保険に入ろうかどうか迷われている方にとって、客観的に判断する材料のひとつになれば幸いです。