70代男性にオススメの生命保険は、
- 医療保険
です。
70代の生命保険加入率ってどのくらい?
では、まず70代の方がどのくらい生命保険に加入しているのか見てみましょう。
生命保険文化センターの平成24年度調べによりますと、70代以上の方の生命保険加入率は、
- 81.8%
となっています。
60代から2%ほど下がったとはいえ、それでも多いですね。
次に、生命保険の加入金額は、
- 715万円
となっています。
60代男性が1,130万円だったことを考えると、三分の二ほどの金額になっています。
ただ、70代の男性に700万円以上の死亡保障っていうのはちょっとかけ過ぎなような気も?
すでにセカンドライフが始まっている現在。
貯蓄を切り崩しながら生活をされているはずです。
万が一のことがあっても、貯蓄から費用を捻出できると思われます。
そのことを考えると、やや掛け過ぎな気がしないでもありません。
では、70代男性に死亡保障は必要でしょうか?少し具体的に見ていきましょう。
70代男性に死亡保障は必要?
死亡保障については、以下の記事にも記載していますので、よろしければご参照ください。
亡くなられる確率だけ抜粋しますと、
- 70~74歳:74,804人(2.06%)
- 75~79歳:176,581人(2.74%)
となっています。
60代と比較すると、2倍程度亡くなられる確率が上がっています。
では、70代の男性にとって死亡保障は必要でしょうか?
まず、これから加入するかどうかですが、死亡保障に加入する必要はないと思います。
セカンドライフは、年金をもらいつつ、不足部分を貯蓄からおぎないつつ生活することになります。
ある程度の貯蓄がある状態で生活をされているわけですね。
そして、万が一のことが起こった場合、基本的に困るのは奥さんのみです。
奥さんの生活費は貯蓄でまかなえると思いますので、必要となるのは葬儀代のみとなります。
そうなりますと、必要な金額は100~200万円程度となりますので、これだけのために生命保険に加入する必要はないと考えます。
万が一の場合に奥さんにお金を残してあげたい、とお考えなのでしたら、保険料を貯蓄に回したほうが良いと思います。
たとえば、70歳でメディケア生命の『メディフィット定期』に加入されたとしますと、
- 保険期間:10年
- 払込期間:10年
- 保険金額:1,000万円
- 保険料:32,692円
10年間保険料を払い続けたとしますと、
- 総払込保険料:32,692円 x 12ヶ月 x 10年 = 3,923,040円
400万円近い買い物になってしまいます。
定期保険ですので掛け捨てになります。
400万円保険料に使うなら、400万円貯蓄したほうが良いと思います。
そのため、死亡保障への加入はオススメできません。
では、既に死亡保障の保険に加入されている場合はどうでしょうか。
まず、定期保険に加入されている場合です。
定期保険に加入されていて更新を迎えているケースですが、更新は不要であると考えます。
理由は、先ほどお話した死亡保障への加入がオススメできない理由と同様です。
定期保険の更新には病歴などに関係なく保険を継続できるというメリットはありますが、保険料は現在の年齢を元に再計算されます。
つまり、定期保険に加入するのと変わらないんですね。
ですので、定期保険の更新は不要であると思います。
次に終身保険の場合ですが、これは加入されている保険によって異なります。
ポイントは、
- 予定利率が高いか低いか
- 必要な特約が付加されているかどうか
予定利率が高い保険については、残しておいても良いですし、払済保険に移行してしても構わないと思います。
このケースについては、解約はオススメできません。
普通に資金運用するよりも高い利率で保険会社が運用してくれていますので、解約するメリットがないためです。
必要な特約がないのでしたら、払済保険に移行しても構いませんし、医療やがん、または介護といった持っておきたい特約があるのでしたら、そのまま保険を継続されると良いと思います。
ただし、加入されている特約が定期特約の場合、更新時に保険料が上がります。
保険料が上がるのが嫌なようでしたら、特約は解約し、別の保険に加入するか、その保険料を貯蓄に回すかされると良いと思います。
次に、予定利率が低い場合ですね。
予定利率が低い保険については、正直加入しておく理由がありませんので、解約されて良いと思います。
60歳や65歳で払済になる短期払いの終身保険であれば、元本割れすることもありませんから問題はありません。
終身払いの保険の場合、元本割れする可能性が出てきますが、それでもこの先払っていく保険料を考慮すると、解約されたほうが良いと思います。
残しておいたほうが良いケースとしては、予定利率が高いケースでもお話したように、必要な特約が付加されている場合ですね。
特約の保険期間が終身なのでしたら、ちょっと悩ましいところではあります。
短期払いでしたら継続されても良いかと思いますが、終身払いの場合は、残しておきたい特約と同等の保険がないかどうかを探されると良いかと思います。
たとえば医療特約がついている場合、同等の医療保険を探してみて、その保険料を確認します。
年齢が高くなっていますので、医療保険の保険料も高くなっていると思われます。
対して終身払いの終身保険は保険料が一定ですので、医療保険に新たに加入されるよりも保険料が安くあがる可能性があります。
このように、ご自身が加入されている保険と他の保険を見比べてみて、保険料が安くあがるようでしたら、終身保険は解約し、別の保険に加入されると良いかと思います。
以上が死亡保障についての基本的な考え方になります。
ただ、これは働かれていないケースを想定したものです。
65歳以上の男性の就業率は、
(出典(「労働力調査結果」(総務省統計局)))
- 65歳以上:31.0%
となっており、70代になられますと、さらに低くなっていることが予想されます。
そのため、働かれていないケースを想定して記載してきました。
現役でバリバリ働かれている方については、60代の方に向けた記事が参考になるかもしれません。
よろしければご参照ください。
70代男性に医療保障は必要?
医療保障については、以下の記事にも記載していますので、よろしければご参照ください。
入院される確率だけ抜粋しますと、
- 70~74歳:75,300人(2.07%)
- 75~79歳:85,000人(3.04%)
となっています。
入院される人数はさほど大きな変化はないのですが、入院確率は2倍ほどに膨れ上がっています。
入院理由としては、精神疾患の割合が下がり、循環器系の疾患や新生物(がん)による入院が多くなっています。
とはいえ、やはり怖いのは精神系疾患です。
70代に入られても平均入院日数は600日程度と、長期入院が必要になります。
では、70代男性に医療保険は必要なのでしょうか?
基本的には不要であると考えます。
最大の理由は、70代に入られますと、高額療養費制度が手厚くなることです。
所得区分が一般の方でも、月額の医療費は44,400円が上限となります。
また、通院についても月額12,000円が上限となり、かなり手厚くなります。
短期入院や通院については、医療保険に入って備えるまでもないでしょう。
怖いのは長期入院ですね。
長期入院については、4ケ月目以降の負担は現役世代と変わりがありません。
そのため、備えるとすると長期入院のリスクについて備えることになります。
たとえば、楽天生命の『楽天ロング』に加入するとしますと、
- 保険期間:終身
- 払込期間:終身
- 入院日額:1万円
- 入院保障:61日以降から通算1,095日まで
- 保険料(70歳):7,980円
- 保険料(75歳):10,060円
やはり年齢が上がると保険料も高額になってしまいますね。
では、実際に入院されたと仮定して、受け取ることができるお金と、総払込保険料を比較してみましょう
もし、以下の条件で2年入院されたとしますと、
- 1ヶ月あたりの医療費:60万円
医療費は、
- 44,400円 x 2年(24ヶ月) = 1,065,600円
『楽天ロング』に加入していたとしますと、受け取ることのできるお金は、
- 保険金:670日 x 1万円 = 670万円
支払う実費は、
- 1,065,600円 - 670万円 = -5,634,400円
となり、医療費だけでで見ると、560万円程度、浮く計算となります。
『楽天ロング』に70歳から20年間加入していたとすると、
- 総払込保険料:7,980円 x 12ヶ月 x 20年 = 1,915,200円
200万円ほどになりますので、今回のようなケースはもちろんのこと、
- 260日以上の入院
- 160日以上の入院が2回以上
20年の間に、上記のような入院があれば、元は取れる計算になります。
ただ、70日以内の入院については、一切お金が下りないことも頭の片隅に置いておいていただければ、と思います。
数値だけで見ると魅力的には見えるのですが、やはり200万円という大きな買い物になります。
どうしても長期入院のリスクが気になる方のみ加入されると良いとは思いますが、高齢になるにつれて長期入院よりも大きなリスクが存在します。
70代の方が備えておきたいリスクとは?
長期入院によるお金のリスクよりも考えておきたいリスク、それは
- 体調の変化を相談できる相手がいないリスク
です。
70代に入られますと、体のいろいろなところに少しずつ変化が表れます。
「ちょっと体調がおかしいかな…でも、ただの気のせいかもしれないし、病院に行くほどでもないかなあ」
と思われることが多くなってくると思います。
そのときに病院に行っておけば早期発見・早期解決できかたもしれない病気が、悪くなってから病院に行くことによって、悪化したり、下手をすると万が一の危険に発展するかもしれません。
とはいうものの、何か変化を感じるたびに病院に行くのは非常に手間ですよね。
であれば、24時間体制で電話相談に応じてくれるサービスを利用しましょう。
「SBIいきいき小短」の「新いきいき世代」なら、医療保険に付帯するサービスとして、24時間無料電話健康相談サービスがあります。
相談相手も医師・看護師といった専門家ですので、相談内容についてきちんとした回答が得られると思います。
ご自身では体調の変化に気づいていなくても、ご家族の方が変調に気づき電話をしてくれて、病気の早期発見につながる可能性もあります。
70代以降の方は、なによりも病気の早期発見・早期解決が大事だと思います。これはお金に換えられない価値だと個人的には思います。
加入年齢は79歳までですので、70代の方でしたら問題なく加入できるかと思います。
- 保険期間:1年(100歳まで更新可能)
- 払込期間:1年
- 入院日額:5,000円
- 入院保障:1日~90日
- 手術給付:5, 10, 20万円(手術の種類による)
- 保険料(70歳):5,940円
- 保険料(75歳):7,180円
- 先進医療特約:100万円まで
無料電話相談サービスやセカンドオピニオンサービスをメインと考えた場合、入院日額5,000円で十分かと思います。
繰り返しお話していますが、70代に入ると高額療養費制度は手厚くなります。
そのため、付帯サービスをメインに考え、入院や手術給付、そして先進医療特約はあくまでお守りとして利用されるのが良いかと思います。
病気を早期発見・早期解決することで長期入院のリスクも少なくなるかと思います。
そのため、まず備えておくべきリスクとして、「体調の変化を相談できる相手がいないリスク」を挙げさせて頂きました。
冒頭に述べたオススメの医療保険は「新いきいき世代」です。
ご自身の健康のために、また、親御さんのためにお子さんがかけておいてあげるのも良いかと思います。
そして、持病があっても加入できる可能性があります。まずは資料を取り寄せ、詳細を確認されてみてはいかがでしょう。
70代男性にがん保障は必要?
がん保障については、以下の記事にも記載していますので、よろしければご参照ください。
がんにかかる確率だけ抜粋しますと、
- 70~74歳:87655人(2.64%)
- 75~79歳:88731人(3.32%)
60代と比較すると、がんにかかる確率は約2倍となっています。
かかってしまうと長期治療となりがちながんですが、保険で備える必要はあるのでしょうか?
70代の方については、がん保険に加入する必要はないと考えます。
その理由は、高額療養費制度により、長期治療の家計負担がぐっとおさえられていることにあります。
がんは入退院を繰り返しますが、通院での治療が多いことも特徴のひとつです。
高額療養費制度により、通院での治療は12,000円が上限となります。
たとえば、3ヵ月入院し、その後5年間通院の治療を受けたとします。
入院費用は、
- 44,400円 x 3ヶ月 = 133,200円
通院費用は、
- 12,000円 x 5年(60ヶ月) = 720,000円
となり、医療費の合計金額は、
- 医療費:133,200円 + 720,000円 = 853,200円
となります。
先ほどご覧いただいた、2年間入院したケースの医療費が1,065,600円でしたので、それよりも安く収まるわけですね。
差額ベッド代や交通費、食費などを考慮するともう少し金額は高くなりますが、それでも保険に加入してまで備える必要はないと言えます。
ただ、現時点ですでにがん保険に加入されている場合は、無理に解約する必要もないと思います。
70代に入られたなら、解約よりも減額されることをオススメします。
がん診断一時金が100万円のプランに加入されているなら50万円のプランに変更する、といったイメージですね。
それほど、70代になるかならないかで医療費は変わってきます。
あと、考慮するべき点としては、先進医療を利用するかどうかですね。
がんになった場合、積極的に先進医療を利用したいのでしたら、医療保険かがん保険いずれかに加入し、先進医療特約をつけておくと安心です。
新しく加入されるのでしたら、シンプルな保障で良いと思います。
たとえば、アメリカンホーム保険の『みんなのほすピタる 使い方いろいろ ガン一時金タイプ』ですと、
- 保険期間:終身
- 払込期間:終身
- がん診断一時金(悪性新生物):100万円
- がん診断一時金(上皮内新生物):20万円
- 先進医療特約:支払上限1,000万円
- 保険料(70歳):3,817円
- 保険料(75歳):3,890円
がん診断一時金と先進医療特約のみのシンプルな保険です。
これでも、がんにかかった場合の医療費の大半をカバーすることができますし、先進医療を利用することもできます。
保険料も割安ですから、70歳から20年加入していたとしても、
- 3,817円 x 12か月 x 20年 = 916,080円
90万円ちょっととなります。
一度でもがんと診断されれば元は取れる計算となりますが、それでも90万円を超す大きな買い物です。
基本は貯蓄でカバーするものとして、先進医療が気になる方のみこういったシンプルながん保険を探されると良いかと思います。
もしくは、60代まで手厚いがん保険に加入されていた方も、70代に入ったことを機にシンプルながん保険に切り替えるのも良いかもしれませんね。
その他に必要な保険ははないの??
この年代になりますと、個人年金は不要ですし、学資保険も不要でしょう。
それ以外に気になるところとしては、介護保険でしょうか。
80歳代に入ると急速に上昇する介護のリスクですが、保険に加入してまで備える必要はないと思います。
もし、もっとも重い要介護状態である要介護5になり、5年間介護が必要になったとしても、
- 介護費用合計:360,650円 x 10% x 60ヶ月(5年) = 2,163,900円
200万円は十分なリスクなのですが、医療やがんに備えるリスクとして貯蓄をしておけば、保険に加入せずとも備えられる金額であると思います。
また、200万円と記載していますが、これは最も重い介護状態になった場合を想定しています。
男性は女性と比較すると要介護状態になりにくく、また介護状態になっても、軽い介護になる方が多いです。
介護については、以下の記事にデータをまとめておりますので興味がありましたらご参照ください。
まとめ
70代男性について、生命保険を保障ごとに見てきました。
最初にもお話したとおり、オススメできる保険は、
- 医療保険(新いきいき世代)
です。
70代に入りますと、高額療養費制度が手厚くなります。これにより、これまで脅威だったがんによる家計へのダメージが大幅に減少します。
そのため、備えるべきは病気を未然に防ぐこと。また悪化するのを防ぐことです。そのための手段として、「新いきいき世代」をオススメしています。
とはいえ、リスクに備えることも重要ですが、やはりまずは生涯収支を黒字にされることから始めましょう。
そのために、まずはライフプランシミュレーションをされることをオススメします。
その結果、生涯収支が黒字であれば、保険を検討されると良いと思います。
もし赤字なのでしたら、まずは黒字にする努力をされてみてください。保険に加入することで赤字を増やしてしまっては元も子もないためです。
黒字になるようでしたら、個人的にオススメな保障の順位は、
- 医療保障 > 介護保障 > がん保障 > 死亡保障
です。
最初に見いていただいたとおり、70代男性の多くが生命保険に加入しています。
ただ、本当に必要な保障を手に入れている方がどのくらいおられるのか、少し疑問に感じてしまいます。
不要な保険に加入されているのでしたら解約されることで、貯蓄に回すことができます。もしくは、本当に必要な保障を手に入れることができるかもしれません。
どの保障が必要で、どの保障が不要なのか判断に困るようでしたら、保険の無料相談で相談してみるのも一つの選択肢です。
しっかりと家計の収支を見直したうえで、お金に対する心配をなくしてしまいましょう。
また、気をつけておきたいのが健康ですね。
介護が必要になる要因として、TOPは脳卒中、4位に骨折・転倒があります。脳卒中は、早期発見することも重要ですが、なんといっても日々の生活が大切になります。
バランスのとれた食事、定期的な運動で、出来る限り生活習慣病のリスクを減らしていきましょう。
趣味として何かしらの運動をされるのもとても良いですね。運動することで筋肉が鍛えられ、骨折のリスクも低くなります。
豊かなセカンドライフの一環として、何か運動を始められるのも良いかと思います。