逓減定期保険は死亡保障の保険です。死亡保障の保険は、ざっくり以下の2種類があります。
- 終身保険
- 定期保険
逓減定期保険は、上記のうち定期保険の仲間ですね。2つの違いを表にしますと、
種類 | タイプ | 保険料 | 保険金 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
終身保険 | 貯蓄型 | 高い | 安い | 葬儀費用 |
定期保険 | 掛け捨て | 安い | 高い | ご主人の万が一に備えて |
終身保険と定期保険の違いについては↓の記事も参考にしてみてくださいね。
では、定期保険の仲間である逓減定期保険についてもう少し詳しく見ていきましょう。
逓減定期保険って??
逓減定期保険は定期保険の仲間です。つまり掛け捨てであり、高額な保障が必要な方に向いている保険と言えます。
では、定期保険と逓減定期保険の違いですが、一言で言うと、
- 保険金が減るかどうか
普通の定期保険は保険金がずっと一緒であるのに対し、逓減定期保険は保険金が年々減っていきます。
減少率は保険商品によって異なりますし、どのくらい減らしていくかをご自身で選ぶことも可能です。
ピンとこないと思いますので、一つ例をあげますね。三井住友海上あいおい生命の『&LIFE 逓減定期保険』を例にあげてみます
逓減定期保険ってこんなイメージ
結婚しお子さんが生まれたため、万が一に備えて逓減定期保険に加入された男性を例にシミュレーションしてみますね。
- 性別:男性
- 年齢:30歳
- 保険期間:30年
- 逓減率:20%
- 保険金:3,000万円
保険金は以下のように推移します。
- 30歳:3,000万円
- 40歳:3,000万円 x (100%-(80% / 30年 x 10年)) = 2,200万円
- 50歳:3,000万円 x (100%-(80% / 30年 x 20年)) = 1,400万円
- 60歳:契約消滅
このように、受け取れる保険金がどんどん減少していくんですね。そのため、同額の定期保険に加入しているよりも、保険料が安くなります。
これがいわゆる『三角の保険』です。
収入保障保険との違い
似たような保険に収入保障保険があります。収入保障保険は、
- 保険金を年金で受け取る
- 年金額は固定(毎月20万円といったイメージ)
- いつまで年金をもらえるかが決まっているため、年が経つにつれ総受取額が減っていく
という保険になります。保険期間が進むにつれ、受け取ることができる保険金が減っていきます。年金の額は変わりません。受け取ることができる期間が短くなります。
そのため、収入保障保険も三角の保険になります。
気になる保険料ですが、同内容の保障であれば、収入保障保険のほうが安くなることが多いです。
収入保障保険は年金での支払いになります。支払っていないお金は、年金原資として保険会社が預かる形になるのですが、その年金原資を保険会社が運用してくれます。
その運用利益の分、保険料を割り引いているため収入保障保険のほうが安くなるわけですね。
逓減定期保険のメリットとデメリット
逓減定期保険のメリットは先ほど記載したとおり、
- 必要なときに必要なだけの保障が手に入ること
定期保険の更新のタイミングで減額していくことで、同じようなことができますが、更新のたびに必要なお金を計算するのが面倒、という方にはうってつけの保険であると言えます。
次にデメリットですが、
- 必要額の算出が難しい
- 取扱保険会社が少ない
逓減定期保険は一括で保険金を受け取ります。なんといってもキャッシュがあるのは心強いですよね。
ですが、それが逆にデメリットにもなるわけでして。
万が一のことが起こったときからお子さんが独立されるまでいくら必要なのか?しっかりと計算しておく必要があるんですね。
そのためには、後述するライフプランシミュレーションをする必要があり。
その結果と、保険商品の保険金額・逓減率をすり合わせないといけないんですね。
平たく言うと
- 面倒です(笑)
また、取扱保険会社が少ないんですね。
終身保険に特約という形でつける、いわゆる「逓減定期特約つき終身」は、ほとんどの保険会社で扱っているのですが、主契約として売っている会社は少ないです。
かといって終身保険にまで加入すると保険料が跳ね上がります。
そのため、「逓減定期特約つき終身」に加入されるなら収入保障保険に加入されたほうが良いのではないかな?と思います。
逓減定期保険か収入保障保険か。そのあたりの考え方については↓の記事に記載していますので、よろしければご参照ください。
逓減定期保険はどんな人に向いている保険?
多額な保障が必要な方、そして、必要な保障がどんどん減っていく方に向いています。具体的に言うと、お子さんが生まれたご家族ですね。
収入の柱であるご主人に何かあった場合、残されたご家族が経済的に困らないように加入されるケースが多いです。
必要な保障は年をとるにつれて、どんどん減っていきます。それは、お子さんの成長とともに、この先かかる教育費や養育費が減っていくからですね。
少し具体的な数値を見てみましょう。数値には、ライフプランシミュレーションを利用します。
ライフプランシミュレーションについては、以下の記事をご参照ください。
実際に簡易シミュレーションを使って、数値を算出します。
逓減定期保険のライフプランシミュレーション例
家族構成は、
- ご主人:30歳
- 奥さん:30歳
- お子さん:0歳
のご家族を想定します。収入は、
- ご主人(月収):45万円
- ご主人(ボーナス):90万円
- ご主人(退職金):1,200万円
- 奥さん(パート月収):10万円
とします。『標準』で収支バランスを見ますと、
- 収入:35,862万円
- 支出:34,049万円
- 収支:1,813万円
となり、生涯収支は黒字です。もし、ご主人が30歳で亡くなられたとすると、
- 収入:13,354万円
- 支出:23,600万円
- 収支:-10,246万円
生涯で1億円近い赤字となってしまいます。
もう少しきちんと設定すれば、正確な数値が出せるのですが、ちょっと赤字が大きすぎますので、ライフイベント(車代や旅行など)の3,096万円を節約したとします。
- 収入:13,354万円
- 支出:20,504万円
- 収支:-7,150万円
だいたい7,000万円程度の赤字となることがわかりました。これがリスクの金額になります。
ご主人に万が一のことがあったときのために、7,000万円程度の保険に入っておけば、残されたご家族は、お金の心配をしなくても良い計算となります。
実際には死亡退職金や会社の保障、また、奥さんがもう少し頑張って収入を増やすなど、考慮する点は多々あります。
ご自身のシミュレーションをされる際は、なるべく現実的な数値を入力すると、正確に必要な保障がわかります。つまり、無駄な保障を買わなくて済むことになります。
話しを戻しますね。
では、ご主人が40歳のときに亡くなられた場合はどうでしょう?今回も、ライフイベントの支出を差し引いた金額で計算します。
- 収入:17,915万円
- 支出:22,523万円
- 収支:-4,608万円
赤字は4,600万円程度になりました。10年経過したことで、リスクとなる金額が、7,000万円から4,600万円に減少していることがわかります。
ここで、先ほど例にあげた『&LIFE 逓減定期保険』に、ご主人が加入していたとします。
- 性別:男性
- 年齢:30歳
- 保険期間:30年
- 逓減率:20%
- 保険金:7,000万円
もし、30歳のときに亡くなられたとしますと、
- 保険金:7,000万円
これが、40歳に亡くなられたとしますと、
- 3,000万円 x (100%-(80% / 30年 x 10年)) = 5,133万円
若干、保険金のほうが多いですが、だいたい同額のリスクに備えられていることがわかります。
このように、まずリスクとなる金額をシミュレーションしたうえで、そのリスクをカバーする保障を選ぶと、無駄のない保障を手に入れることができます。
また、逓減定期保険は、リスクに合わせて保険金額が減少していくということもおわかりいただけたかと思います。
どのくらいリスクがあるかも知っておくといいかもです
「万が一の可能性があるといっても、どのくらいの確率なの?」という疑問もあるかと思います。
各年代の死亡保障についての考え方や、ざっくりとした統計データを以下にまとめていますので、参考にしてみてください。
たとえば30代前半の男性が亡くなられる確率は、
- 0.07%
だいたい1,427人に1人という確率ですね。意外と他人事ではない数値です。
まとめ
逓減定期保険の特徴や、メリット・デメリットについて記載してきました。
ライフプランシミュレーションが面倒でしたら、保険の無料相談を受けると、簡単にやってくれると思います。
ただ、少なくともその前に、生涯収支がどのくらいか、万が一のリスクはどのくらいなのか、ざっとでも良いですので、把握されておくことをオススメします。
簡易シミュレーションでしたら、本当に2分程度でササッとできてしまいますので、ざっくりとでも把握されていると、無料相談を受ける際にも、ご自身の思いが伝えられて、必要な保障を手に入れやすくなると思いますよ。